しるし 6 ―Side Kira





「──ん…?」

ゆっくりと目を開くと、明るくなった部屋の景色が飛込んできた。

(あれ…夢…見てたのかな…)

アスランがいたような気がするのに…
ベットにはいつものように僕一人で。ぼんやりとした頭で思い出していると、シャワールームの扉が開いた。

「キラ、目覚ましたのか?」
「あ…アスラン…?!」

そこから出てきたアスランに慌てて起き上がる。

「ごめんな、勝手にシャワー借りた…って、キラ?」

これが現実なのか夢の続きなのかわからなくなって、僕は黙ったまま近づいてくる彼を見つめて。

「…夢…じゃない…?」
「あぁ…俺はここにいるよ」

ベットに座って頭を撫でてくれるアスランに、これは現実なんだってやっと確信した。

「よかった、夢じゃなくて…」

ホッとしてアスランを見ると、ズボンは履いているけど上は裸で。首にかけられているタオルに濡れた髪…

「…あ」
(そういえば…僕…アスランと…)

急に昨夜のことがフラッシュバックして、顔を赤くする僕を見てアスランがクスッと笑う。

「っ…アスランっ」
「いや、だって久しぶりだとキラ、激しくなるんだなと思って」
「だ…だって……ア、アスランだって早かったくせに…!」
「悪かったな…キラが可愛い過ぎたんだよ」
「う……」

そう額にキスをされて、耳まで熱くなるのを感じた。

「そういえば、あれちゃんと飾ってるんだな」
「え?あ、うん」

アスランが言う視線の先には、デスクに置かれたマリューさんからもらったブーケ。

「他に行く時も持っててるよ。あれは御守りだから」
「御守り?」
「うん…」

『──いつかアスランくんが迎えに来てくれるわ』

だからまた一緒にいられる日がくるようにって…




「…キラ、ちょっといい?」
「え…ンっ?!」

首筋に宛てられるアスランの唇。そしてきつく吸われて痛みが走る。
その痛みさえ、アスランを感じて胸が高鳴る。

「ん…っ」
「付いた…」
「…アスラン?」
「…今はこれくらいしか残せないけど…でもいつもお前とまた一緒にいられることを想っているよ…離れていても…」

そう僕を見つめる翡翠の瞳。

「…僕も…僕もいつもアスランを想っているから…ずっと…」
「…キラ…」

溢れてくる涙をアスランの指がそっと拭う。


(アスラン…)


泣いたり笑ったり
不安定になることもあるけれど
僕たちの想いは繋がっている
それが君と僕の──…




「…これが消えそうになったら、今度は僕が会いに行ってもいい?」
「あぁ。そしたら今度は躰中に付けてやるな」
「えぇ…っ?!それはやだ…」
「嬉しいんだろ?本当は」
「アスランっ!!もぉ…」

そう僕たちは顔を見合わせて笑って。

「…アスラン…愛してる…」
「俺も。愛しているよ、キラ…──」

目を閉じて、静かに唇を重ねた。





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