Eterinty

第6章 永遠の誓い





「──んっ…ぁ…アスラ…っ」
「キラ…ッ…」
「や…ひ…アァ…ッ」

中を一杯に満たしながら激しく突き上げてくる熱い塊。アスランの首に腕を回しながら、キラは押し寄せる快楽に背を反らせる。

「アァッ…い…いぃ…っ僕…ぅ」
「イっていいよ…キラ……」
「あっ…アァッ、イク…イっちゃうぅ…ッ」

昇りつめて真っ白になる頭の中。快楽の余韻に身体を震わせながらアスランの熱を受けとめて。

「は…ぁ…はぁ……」
「っ…キラ……」

息を切らしているキラの額に降ってくるアスランの唇に、また幸せな気持ちに満たされていく──

「…アスラン…好き…大好き……」

そう呟いて、キラはアスランにしがみついた。

 

ずっとこんな風に一緒にいたいと思っていた。
でも本当はわかっていたはずなのに……。
だってアスランは──…













「そこの子猫ちゃん、ご機嫌はいかが?」

バルコニーに出て景色を見ているキラにかけられる聞き覚えのある声。振り返るとムウがいた。

「それにやめてください、その呼び方」
「そんな睨むなって。そういえば俺のプレゼント、なかなか良かっただろ?」
「プレゼント……って、あぁっ!クリスマスの時の!」

クリスマスの時、ムウにサンタの衣装を用意してもらったことが蘇ってくる。変わっていくキラの表情を見て、ムウが笑った。

「笑いごとじゃないですよ!あれ、すごく困ったんですから……!」
「でもアスランは喜んだんじゃないのか?」
「う……」

思い出して顔を赤くするキラにまたムウは笑った。

「でもさ、あいつ変わったよ」
「え?」
「キラが来てから穏やかになったっていうか……」

唐突な話をしだすムウにキラはきょとんと目を向ける。

「レノア様が亡くなってから心を閉ざしているような所があってさ」
「レノア様?」
「あぁ、前王妃でアスランの母君だ。アスランが小さい頃、事故で亡くなったよ」

(レノア…様……?)

どこかで聞き覚えのある名前にキラは頭を巡らせた。

「その事故の原因がアスランだったみたいでな。そのことと、第一皇子だって期待に答えないとって、気を張っていて…笑うところなんて滅多に見せなかったよ」
「アスランが……?」

何があったのだろう……キラが考え込んでいると、ムウは「あいつには言わないほうがいい」と口止めする。キラは上手く消化できないままだったがが、こくっと頷いた。
ムウはよしよし、と言いながらキラの頭を撫でる。

「ちょっと、ムウさん?」

自分に触れる手にキラが顔をしかめながら見上げると、

「まぁ……がんばれよ」
「え……?」

ムウはやけに真剣な顔をして頭をグシャと撫でた。そんないつもと違う彼に、キラは何故だか嫌な予感がして……。
その後、ムウが去ったバルコニーで一人、沸き上がる予感に胸を押さえた。









「アスラン、おつかれさま!」
「キラ…ごめん、遅くなった」

部屋に戻ってきたアスランに駆け寄る。ぎゅっと抱きつくと、キラの身体に回されるアスランの腕。

「んっ…アス…ラン…?」

徐々に力が入るその腕に不思議になって顔をあげた。

「……何かあったの?」
「いや……何でもないよ」
「でも……」

アスランの顔には何だか曇りが見えて……不安そうに見つめていると、そんなキラにアスランが微笑む。

「大丈夫だ、キラは心配しなくていい」
「うん……」

昼間の予感が頭をよぎって不安になる。だがアスランがそう言うのなら、これ以上考えないようにしよう……。
もう一度強く抱きしめられるその腕の中に、キラは目を閉じて蹲った。







「──キラ……キラ……!」
「ひ…ぁっ…アァッ、アスラ…ッ」

その夜、激しく突き上げてくる衝撃にキラは悶えて。何度めかの絶頂を迎えた後、意識を手放してしまったようだ。
気がつくと明るい光の中、目を覚ます。机の上のアスランからの置き手紙があった。

「もう出かけたんだ……」

寝ている自分を起こさないよう、気を使ってくれたことに小さく笑いながら着替えをしていると、

「し、失礼します!キラさん、あの王様が……!」
「え……?」

慌てて部屋に飛び込んできたアーサーに、キラは目を大きくした。

「その、王様がキラさんをお連れするようにと……ですが……」

顔を曇らせて話すアーサーに昨日の予感が膨れ上がる。

「アーサーさん、それって……」

キラが言いかけたその時、

「──失礼します。あなたをお連れするようにと、王様からのご命令で参りました」

金属音を鳴らして城の兵士たちが入ってきた。彼らたちは返答も聞かず、キラを取り囲む。
アーサーが慌てふためきながら声を上げた。

「あ、乱暴なことは……!」
「しかし抵抗をした場合には無理にでも、とのご命令も出ていますので」
「そんな……!」

アーサーの悲痛な言葉を耳にしながら、キラは見下ろされる視線に身を強張らせた。

(アスラン……僕……)

不安で押し潰されそうな心臓を、強く握った掌で押さえる。

「では参りましょう」
「………」

キラは兵士たちと廊下へ出た。俯いたまま、まだ来たことがない城内をただ歩く。でも眺めている気分にはとてもなれなかった。




「失礼します。王様、連れて参りました」

兵士たちが足を止め、扉を叩く。王座の間にでも連れていかれるかと思っていたが、場所からしてそこは王の自室のようだ。

「──入れ……」
「はっ」

中から聞こえる声に兵士がゆっくりと扉を開ける。キラは背中を押されるようにして中に入った。

「……そいつがアスランの所にいた者か?」
「はっ、そうであります」

低く響く声にそっと顔を上げる。

(この人が……王様……)

アスランの父で、この国の王──パトリック・ザラ。
あのアスランからは想像のつかない険しい顔つきをしたパトリクに、キラは威圧を感じた。
パトリックは兵士といくつかやりとりをしたあと、キラを見てふん、と鼻をならす。

「全く、アスランが結婚を渋りだすから何事かと思えば、このような者を飼っていたとはな……」
「え……?」

パトリックの口から出た『結婚』の二文字に、キラの瞳はは大きく固まった。キラの反応にパトリックは唇の端を上げる。

「知らなかったのか?アスランは間もなくエターナル公国のラクス姫と結婚し、両国は同盟を結ぶことになっている。そうなればこの国も安泰だ」
「っ……」

突きつけられた事実にキラの膝は震えだした。

(アスランが……結婚……)

政略結婚──それは王家に生まれたものなら当然のことである。国を守り、発展させるためには必要な政略の一部だ。アスランはこの国の皇太子であるのだから、いつかは結婚をして王になる──そんなことは考えなくてもわかりきっていたはずなのに……。

「…………」

顔から血の気が引いていく。真っ青になり、唇を震わせているキラを見下ろしながら、パトリックの口調が変わる。

「それが昨日になってエターナルの使者にもう少し待って欲しいなどと言い出しおって……調べてみれば貴様だ。そうなのだろう?──レイ」
「え……」

呼ばれた名前にキラは驚いて顔を上げた。

「はい、その者がいることで皇子に迷いが生まれているかと……」
「うそ……」

パトリックに呼ばれ、歩み寄ってきたレイを見て、キラの顔が歪む。
彼がパトリックに告げたのだろう。実際、彼が自分のことをよく思っていないのは知っていた。だけど、こんなことをするなんて……!
キラの身体は崩れそうになった。しかし、そんなキラの顎を、怒りを露にしたパトリックの手が掴む。

「男のくせにかわいい顔をしおって……それでアスランをたぶらかしたのか?」
「ち…違…っ」

ぐっと顎を持ち上げられ、顔を覗き込まれた。

「とにかく、これ以上アスランの側にいられてはかなわん。貴様はどこぞの国でも売り飛ばしてやるわ」
「ッ…!」

パトリックの残酷な言葉が突き刺さり、キラの瞳に涙が浮かぶ。

「ふん、泣き請いは聞かぬが……アスランが貴様の何処にうつつをぬかしたのか調べてやるのも悪くないかもしれん……」
「え……」
「お前たちはもうよい。レイもだ。下がれ」
「では失礼します」

パトリックに言われて部屋を出ていく兵士たちに紛れ、レイがちらりとキラに目をやって去っていく。それを目で追っていると、ぐっと強く腕を引かれた。

「貴様はこっちだ」
「や……!」

隣の部屋へ連れていかれると、そこは寝室なのか、天蓋のついたベッドがあった。その上にキラは突き倒される。

「なに……するんですか……?」

小さく呟いた声は震えていた。上着を脱ぎ始めるパトリックに、まさかと思うことが頭の中を巡って全身が小刻みに震える。

「部屋に置いておくからには貴様は夜伽の相手なのだろう?私の前でも鳴いてもらおうじゃないか」
「ッ!や、やだ……」

覆い被さってくる身体を手で押し退けようとするが、その手はあっさりと掴まれてしまった。

「ん?何だ、これは……」
「あ……」

パトリックの目に止まったのはキラの指に光るエメラルドの指輪。

「こんなもの……身分をわきまえるのだな」
「や、やだ…それは……!」

無理やり指から引き抜かれ、コトン、と音をたて絨毯の上に落とされる。

(いや……アスランから貰った、大切なものなのに……っ)

それを追いかけるようにキラが手を伸ばすと、パトリックはキラを引っ張り、ベッドに押し付けた。なお暴れるキラの両手を紐で縛り上げる。

「や…やだ……!」
「王に刃向かうつもりか?……まあいい、そうやって抵抗している所を抑えつけるのも、また一興というものだ……」
「え、あ…っ」

ビリビリと布を裂く音がして、無残にも開かれた服はキラの素肌を曝け出した。

「あ…い、いや…」

パトリックは掌で撫で回しながら、小さな胸の突起に触れる。

「ピンク色をしてかわいいじゃないか…」
「あ…っ」

くりっと摘み上げられてキラの身体がひくんと震えた。その様子に気をよくしたパトリックは突起に舌を這わせる。

「ん…っ…」

感じてたまるものか……とキラは唇をぎゅっと噤む。
パトリックはそれを知ってか、突起を執拗に舐め回しながら、もう片方を指できつく摘んだ。

「っ…ン…う…」

──アスランに染められた身体は過敏に反応するようになってしまっていた。自分の想いとは反して中心に熱を溜めていく……。

「なかなか強情だな。だかここは……」
「あっ!」

下肢に伸ばされた手はキラの中心を掴む。やわやわと揉まれると、そこは固く頭を持ち上げだした。

「う…っ」

こんな風に反応をしてしまう身体が恨めしくて唇を噛む。そんなキラにパトリックは笑みを浮かべると、ズボンに手をかけた。

「どれ、見てやろう……」
「や…やめて…ください…っ」

手を封じられては大した抵抗も出来ず、ズルッと下ろされて。

「い…いや…」

ぷるん、と先端を蜜で濡らした自身をパトリックの目下に晒してしまった。

「嫌だと言っているわりには何だ、これは?」
「や…触らない…で…あぁっ」

指を絡められて思わず声を上げる。パトリックは握ったそれを上下に擦り始めた。

「っあ…や…め…」

敏感なそれを刺激され、口を噤むことも叶わなくなる。速度を増していく手に追い詰められ、キラは背を反らした。

「あぁっ…だめ…だめぇ」
「そうだな、そんな簡単にイってもらってはおもしろくない」
「ひぁ…っ?ふぁ…あ…」

握られていた手を離されると、中途半端に昂ぶらされたキラの身体はびくびくとベッドの上で震える。

「もっと楽しませてもらわないとな……」
「ふぇ…あ…あぁ…っ」

パトリックは赤く充血した胸の突起に舌を這わせながら、蜜で濡れた先端を指で撫で始めた。そして、キラが達する寸前に手を止める。それを繰り返されるとキラの意識は朦朧としだして。

「ひぃ…っ…も…ぉ、あッ…ひあぁ…」

震える唇から涎を垂らしながら、放出することができない熱に全身を痙攣させていた。

「はぁ…も…許し…てぇ…っ」

拷問のようなこの状態に耐えられず、くちゅくちゅと音をたてて先端を弄るパトリックに懇願する。ぐしゃぐしゃに濡れた顔を見下ろしてパトリックが笑った。

「そんなにイキたいのか?自分で腰まで振りおって…」
「っ…!」

無意識にも、キラの腰はパトリックの手に自身を擦りつけるように淫らにくねっていて。勝手に動いてしまう腰を止めることができなかった。

「はぁ…あ…っ…や…」
「いい眺めだ……その顔も淫らな身体も、男を欲情させる素質を備えている……アスランの調教もなかなかのものだな」
「ふぇ…違…あぁっ」

グリッ、と先端の割れ目に爪をたてられて、キラは目を見開く。

「ふ…嫌だと言うのなら止めてやる。次は後ろの孔を見せてもらおうか…」
「ひ…っ…や、やだ…あ…ッ」

掴まれた脚を左右に大きく開かれ、アスランにしか見せたことのない秘所を露にされた。

「見られただけでも感じるのか、貴様は…ヒクヒクと物欲しそうに動いておるわ…」
「いや…見ないで…ひゃ」

指で撫でられるその感触にそこが濡れてしまっているのがわかって、キラは信じられずまた泣きだす。

「ふぇ…あ、あぁっ」

撫でつけられていた指を挿入され、キラは嫌々と首を振った。

「ひっ…だめぇ…っ」
「貴様のここはそうは言っておらんぞ?」
「ふぁ…あ…ンん」

中でぐるりと掻き回されると、ひくんと壁が収縮する。

「まるで生き物の口のようだな……指に吸いついてくる」
「は…あ、あぁンッ」

歓心に頬を緩ませながら擦っていたパトリックの指が敏感なしこりを掠めた瞬間、キラは一際大きな声を上げてしまった。

「ここがいいのか?」
「んあっ、ああぁ──…っ」

散々追い詰められた身体はもう限界だった。指で強く抉られて背を仰け反らす。キラはパトリックの目の前で白濁を放ってしまった。

「ふは…ぁ…はぁ…ン…」
「ひどい乱れようだな……」

肩を揺すって荒い息を吐いていると笑い声が耳に入る。
パトリックは指を追加すると、達したばかりで敏感になっている内を擦り始めた。

「ひぃ…っ…あ…だめ…ぇ」
「ここにアスランの肉棒を銜え込んでいたのか?」
「ひ…ゃ…うく…ぅ」
「答えろ」
「ッ…は…はぃ…」

激しく抽出される指に身体を震わせながら答える。

「そうか……こんなきつい孔に肉棒を入れられて貴様はどうなんだ?」
「ふぁ…っ…気持ちい…です…」

いつの間にかまた勃ち上がっている中心。身体に与えられる刺激だけではなく、言葉にも反応していることに気づいた。

(やだ…やだよ、こんなの…っ)

それでもどうしようもなく疼いてしまう身体を止められることができない。このまま執拗に弄られたら、僅かに残った理性もバラバラになってしまうのではないかと思う。

「そうか……ならば欲しいのだろう、同じものが」

突然引き抜かれる指に大きく息を吸い込む。
耳に入る布の擦れる音に目を開けると、前たてに手を掛けるパトリックが映った。

「い…いや…それだけは…っ……」

必死で頭を振って赦しを請う。だがパトリックはまるで取り合う気もない笑みを浮かべて──というより、欲情した表情で覆い被さってくる。

(や…やめて……)

あまりの震えに、それは声にすらならなかった。

「い…ああぁぁ──ッ」

どんなに叫んでも無駄だった。身体を押さえつけられ、無理やり入ってくる塊にキラはぼろぼろと涙を溢す。

「や…あ、アスラ…アスラン…っ」
「く…貴様ごときがそんな風に呼んでよい名ではない…!」
「んぐ…っ、んんっ」

彼を呼ぶ口を塞ぐように、破かれた服を口内に詰め込まれて。

(いや…アスラン…っ)

快楽なんてものではなかった。ただ怖くて、嫌悪感で吐き気さえする。

「よく絞まる…これでは長く持たないな……」
「んっ、う…んん!」

内側でいっそう膨張したパトリックのそれに終わりが近いことを悟って、キラは顔を歪ませた。

(いや、いやぁ、中に出さないで…ッ)

パトリックが短い呻き声を上げ、その後に内壁に叩きつけられる熱い飛沫に愕然となる。

(アスラン……)

キラの目の前は真っ暗になった。




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