Eterinty あなたにすてきなクリスマスを 2
「あ…あの…っ」
扉を開けて顔だけそっと出す。ソファーに腰かけていたアスランが振り返った。
「着れた?」
「うん……でも目瞑ってて…っ」
「何で?」
「だって……サンタは眠ってる子の所にしか来ないんだって……」
真っ赤になって言うキラにアスランはくすくすと笑いだす。
「ちょ…アスランっ?」
「わかった。目、瞑ってるから……」
笑いながらアスランは目を瞑った。キラはそれを確認するとそっと部屋の中に入る。
短めのワンピースから出た脚が空気に触れてなんだか変な感じだ。それに恥ずかしくて胸がドキドキする。
「あ…アスラン…いいよ、目開けても……」
アスランの前に立つと小さく呟いた。ゆっくり開かれるアスランの瞳に、心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと思う。
「…………」
目を開けたアスランは無言のまま、キラの頭のてっぺんから脚の先を眺めた。
「っ、そんなにじろじろ見ないで……!」
(こんな格好恥ずかしすぎるよ…っ)
思わずスカートをギュッと握る。
「いや……だってあまりにも……かわいいから……」
暫くしてアスランが真顔でそう呟いた。
「え…へ、変…じゃない?」
「あぁ、キラのサンタ姿、かわいいよ」
そう微笑むアスランに何だかほっとする。彼が笑ってくれるのがとても嬉しい。
「それでサンタさん、プレゼントは?」
「あ…う、うん。あのね、ケーキ焼いたんだ。プレゼントになるかわからないけど…でもっ」
「キラが一生懸命用意してくれたんだろ?なら俺にとって嬉しいプレゼントだよ」
そう自分を見上げて微笑むアスラン。キラの胸にあったかいものが広がる。
キラは用意しておいたケーキにナイフを入れた。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
切り分けると皿に乗せてアスランに差し出す。
「あ、そのまま持ってて」
「え?わ…!」
腰を持たれ、反転させられた身体をアスランの膝の上に乗せられた。
「アスラン?」
「ここに座ってろ」
「あ…うん……」
アスランは腕を回すと、キラが持っていた皿に手を添える。そうしてフォークでケーキを切ると口に運んだ。
「……どう?」
後ろを振り返りながら、キラはおずおずと聞く。
「美味しいよ。キラ、すごいな」
「ほんと?良かったぁ」
「ほら、口開けてごらん」
「んっ?」
口元にフォークをつきつけられて。口を開けると中に甘い味が広がった。
「……おいしい」
「だろ?」
「うん」
スポンジに少し含ませたブランデーの香りが鼻を擽る。
キラは料理長が教えてくれた、この木を切ったようなこのケーキの由来を思い出した。
「あのね、このケーキ、『ブッシュ・ド・ノエル』っていう名前なんだけど、『ブッシュ』は薪っていう意味で、『ノエル』はクリスマスを意味するんだって」
ツリーを見ながらキラは静かに話し出す。
「由来がいくつかあるらしいんだけど…その中のひとつに貧しくて恋人へのクリスマスプレゼントも買えない青年が、せめても…って一束の薪を贈ったっていうお話があるんだ」
アスランはケーキを食べながらキラの話に耳を傾けた。
「僕…アスランの所にきたプレゼントみたいな高価なものは用意出来ないけど、でもこのケーキのお話みたいに気持ちを込めて贈れたらって……」
だからこのケーキもキラの気持ちそのもの。これがキラに出来る精一杯のクリスマスプレゼントだ。
「あ、そうだ。飲み物忘れてた……入れてくるね」
話し終えたキラは少し照れくさくなって、アスランの膝から降りようとした。
「いいよ、キラ」
「でも……」
アスランはキラの腰に手を回しながら、空になったお皿を机の上に置く。
「もう少しこのまま……」
「え……」
「キラの気持ちが嬉しいから……」
「アスラン……」
後ろから抱きしめてくるアスランの腕に、キラももたれかかった。
(あ……)
俯いたその目にスカートから出た脚が映る。忘れかけていた自分の服装にキラはこっそり頬を赤くした。
「……足、寒い?」
「え?あ、ちょっと……」
キラの視線に気づいたのか、アスランが聞く。部屋の中は暖かいけれど、慣れていないキラにしたら、確かに少し寒かった。
「ひゃ…っ」
「……本当だ、少し冷えてるな……」
アスランの手が暖めるように脚に触れる。
「でも、キラのこの格好も嬉しかったよ」
「え…?んっ」
大きな掌は脚を撫でながら、スカートの中へと滑り込んだ。
「すごく可愛いい……」
耳元で囁かれると、キラの体温は上昇してしまう。そして中心へと近づくほど熱は高まって。
「ここは熱いな……」
「あ…っ」
下着の上から触れられたそこは主張をし始めていた。確かめられるように撫でる手にキラは恥ずかしくなって唇を噛む。
「んっ…ふ…う…」
すっかり張り詰めてしまったキラの中心。アスランの膝の上で脚を擦り合わせていると、その身体は宙に浮いた。
「わ…アスラ…っ?」
「プレゼントにかわいいサンタも欲しいんだけど……いい?」
「え…!」
アスランはキラの返事も聞かずに、ベッドに連れていく。
「あ…待って…やっ」
下ろされたキラは早急に下着を脱がすアスランに慌てて声をあげた。が、そのアスランはスカートの中に顔を埋めてしまう。
「あ、アス…っ、ふぁ…」
自身に触れる生温かい感触にキラはびくんと跳ねた。
「ンぁ…っ、あ…アァッ」
スカートで見えないが、その温かく湿った感触から口腔内に含まれていることがわかって。羞恥に震えながらも、与えられる快楽に腰が揺れてしまう。
「ふ…、はぁ…アス…っ」
茎を這うように舐めていたアスランの舌が先端の窪みに触れた。蜜の滴るそこを強く舐められると、奥から熱が込み上げてくる。
「ひぁッ!や…っだめぇ…出ちゃ…うっ」
アスランの口の中で達するわけにはいかない。
「お願…ぃ…っ…離して…ぇッ」
シーツをギュッと掴んで必死に耐える。けれど追い討ちをかけるように先端を甘噛みするアスランに、キラはついに耐えきれなくなった。
「いやぁっ、あっアァァ……ッ!」
びくびくと痙攣しながら、アスランの口内に勢いよく熱を放つ。
「ふぁ…は…ごめ…な…さい……」
「…キラ…美味しかったよ」
「や…そん…な……」
身を起こしたアスランにキラは紅潮した顔を向けた。快楽に溢れた涙を拭いながらアスランが囁く。
「まだ足りない……もっとキラが欲しい……」
「あ…っ」
赤い服の前襟を僅かに開けられて、そこから胸の突起に舌が伸ばされた。
「んンっ…ぁ…ふぁ…っ」
達したばかりなのに、アスランの愛撫に身体はすぐ反応する。
──きっと自分も足りないのだ。アスランが欲しくて全身が彼を求めている。
「あぁ…ンっ」
突起を舐め回されながら秘所に指が触れた。そこは恥ずかしいくらい潤んでいて、撫でつけられて淫らな音をたてる。
「んぁ…ぁっ」
その中に差し込まれる長い指にキラは背を反らせた。
「キラの中…クリームみたいにとろとろになってる」
「や…そんなこと…言わないで…っ」
指で掻き回すそこはとても熱く、恥じらう声にアスランは小さく笑う。
「ひ…っぁ…アァッ」
敏感な壁を押し上げられてキラは一際大きな声を上げた。浅く抜かれてはまた擦られ……それを繰り返されていると、息さえ上手く出来なくなる。キラはこんな風に焦らされ、限界に近づいていた。
「う、やぁ…アスラ…もぉ…」
「サンタがプレゼントを強請るのか?」
「っ…だっ…だって……」
ガクガクと身体を震わせ、涙ぐむキラにアスランの唇が降ってくる。
「ごめん、意地悪だったな。本当は俺の方がもう限界だ……」
「っあ……」
そう囁かれながら入り口に当てられるアスランの自身。
「キラ……」
「ふぁあ…ぁッ」
指で緩んだそこを押し開く、熱くて大きな塊にキラは身体を強張らせた。
「くンん…っ…ふぁ…ぅ」
アスランの背中に腕を回して侵入に眉根を寄せる。熱い塊がゆっくりと内側を擦りながら、奥へと入ってくる。
「はぁ…っ…アスラ……」
身を震わせながら、中を一杯に満たすアスランにキラはうっとりと声を呟いた。
アスランはキラの膝裏に手を添えて大きく開かせると、繋がったそこに目を落とす。アスランの視線を感じてキラは首を振った。
「やぁ…ッ、見ないで…ぇ」
「見せて、キラ……」
「や…あっ…アァッ」
結合したそこを見られながら腰を動かされ、恥ずかしさに力を入れると、絞っては余計にアスランを感じてしまう。
「あぁっ…アス…ッ」
「キラ、そんなに締めつけるな…」
「はぅ…で…でも…っ」
内側に感じるアスランが容量を増したのを感じ、キラはうっすらと目を開けた。潤んだ視界に映ったアスランは額に汗を浮かべていて。
アスランも感じている──そう思うと更に悦楽は増した。
「あぁ…アスラン、お願い…側に来て……」
身体を密着させて、もっと彼を感じたい。アスランに向かって手を伸ばせば、アスランは微笑みを漏らしながらキラに覆い被さった。額をこつんとくっつける。
「側にいるだろ?」
「ン…でも…ぎゅってして…ほしいから……」
甘えるように呟けば、願い通り抱きしめられ、安堵に熱い息を吐いた。そのまま中を突かれ、キラはアスランの背中に腕を回してしがみつく。グラインドする腰に脚を絡めながら、合わせて腰を揺らした。
「キラ…キラの身体も服と同じくらい…真っ赤に染まってるよ……」
「あぁっ…だ…って…アスラ…が…熱い…から…ぁっ」
キラは絶頂へと昇りつめ、背を反らす。
「やぁあ…っ…また…イッちゃぅ…アァッ」
「くっ…キラ…ッ」
白濁を放ったのと同時に、内側で一層容量を増したアスランの自身から熱が放たれるのを感じた。
「──ラ……キラ……」
「……ン……?」
呼ばれる声に意識を取り戻す。
(僕……気絶しちゃってた……?)
朦朧とした中でゆっくりと瞳を開けると、ぼんやりとした視界に赤いものが入る。
「……あれ……アス…ラン……?」
「キラ、メリークリスマス」
そこにいたのはサンタの帽子を被ったアスランだった。
次第に覚醒する意識に、自分の帽子がなくなっているのに気づく。
「あれ…それ僕の……?」
「サンタは眠っている子の所にしか来ないんだろ?」
「え……」
「だから……」
そう言いながらアスランはキラの手を取った。その手の指に何かを感じて目を向ける。
「──あ……!」
目に入った薬指には指輪がはめられていて。そこについた翡翠の宝石がキラキラと輝いていた。
「ア、アスラン、これ……っ」
「クリスマスプレゼント。俺と揃いだよ……」
そうキラの前にかざすアスランの指には紫の宝石がついた指輪がはめられている。
「キラにはエメラルド、俺にはアメジスト……互いの瞳の色だ……」
「あ……」
優しく見つめるアスランにキラは涙を浮かべた。
「キラ、なんで泣くんだ?」
その涙を見てアスランがくすっと笑う。
「っ…アスランが…泣かしてるんだよ?…嬉しいから…っ…すごく……」
指輪のはまった手の甲で涙を拭った。
「…俺も……」
キラの頬を撫でながらアスランが囁く。
「キラが一生懸命俺のことを考えてくれて…俺もキラのために…って考えていたら、すごく幸せな気持ちになったんだ」
「キラが教えてくれた…こんな気持ち…だからありがとう…」
「アス…ラン…っ」
僕も……
アスランのことを考えて、アスランが喜んでくれて。
そして、アスランも僕のことを考えてくれていたなんて、幸せすぎるよ…?
「キラ、好きだよ……」
「僕も大好き……」
宝石が光る指を絡めて、二人は唇を重ねた。
「キラ、知ってる?ポケットに手紙が入ってること」
「え?」
ポケットに手を入れると一枚のカードが出てきた。
「『メリークリスマス!かわいいサンタを君に──ムウ・ラ・フラガ』って…えぇっ?」
「してやられたな、ムウに」
「ぼ…僕がプレ…ゼント…?」
「よくわかってるじゃないか、俺が喜ぶこと」
「え…っ」
第5章 End