Eterinty 出逢い 2
再び足を踏み入れたセイラン家は、罪人として手配されていたキラが見つかったということで騒ぎになっていた。
傭兵に変装をしたアスランとレイに連行される形で屋敷に戻ったキラを出迎えたのは、あのユウナだった。
「キラ、残念だったね。あそこで僕の言うことを素直に聞いていればこんなことにはならなかったのに」
捕らえられたキラを見てユウナは皮肉そうに笑う。
「ユウナ、人前でよしなさい」
それを呆れたように背後から近づいてきたウナトが止めた。そして傭兵と思い込んでいるアスランたちに目をやり、
「ご苦労だった。二方には報酬を用意しよう。応接室で待たれよ」
「ありがとうございます」
労いの言葉を掛けると、案内するようメイドに指示をだした。
「──さてと……」
二人が行ったのを見届けると、ウナトは表情を変えてキラを見下ろした。
「使用人のくせに大それたことをしたものだ。この始末、どうなるかわかっているであろう?」
「………」
眼鏡越しの冷たい視線にキラの身体が竦む。
「『あの事』、誰にも言ってないであろうな?」
警戒するように問うその質問。やはりウナトはその事を気に掛けていたのだ。
「……はい」
震える声で返事をすると、ウナトはそうかと笑みを浮かべた。
「だがユウナにけがを負わせた上に勝手に屋敷を抜け出したとあっては、処罰されてもおかしくはないな」
「ッ……!」
処罰という言葉にキラは身を硬くする。
背後で様子を伺うように立っていたユウナが割り込むようにウナトの前に出てきた。
「父上、キラの始末は僕に任せてよ。このままじゃ僕の気が治まらないんだ」
「おまえはまだそんな……まぁいい。今度は逃げられるなんて失態はするなよ」
「わかっているよ。じゃあ行こうか、キラ?」
「はい……」
ユウナの笑みに背筋に寒気が走る。
縛ってある両手を引っ張られるようにされながら、キラはまたユウナの部屋に連れ込まれた。
着いたとたん、ベッドの上に乱暴に投げられる。
「やっ……」
ベッドの上で弾むキラの上に、ユウナが覆い被さった。
「この間の続きだよ、キラ」
「ユウナ……様……」
「父上に鞭を振るわれるよりいいだろう?まぁ、あの時の悲痛な声もそそられるけどね」
そう興奮したようにユウナはキラの服を脱がしにかかる。
「っ……」
──これでいいんだ、時間稼ぎになる。この間にきっと彼が証拠を見つけてくれるはずだから…。
強張りながらもキラは黙って唇を噤んだ。
「そうそう、おとなしくしていればかわいがってあげるからさ」
抵抗をみせないキラに機嫌をよくしたユウナはキラの身体を弄り始める。肌に触れるその手が気持ち悪くて、キラは思わず顔を背けた。そんなキラにユウナはムッとなり、キラの栗色の髪を掴んで無理やり自分の方へと向かせる。
「痛……!」
「ほら、ここは気持ちよがるところだろ?」
「う……」
こんなことで気持ちよくなれるはずなんてない──目に涙を浮かべるキラを見てユウナが笑う。
「あぁ、泣いている顔もかわいいね、キラ…」
うっとりとした表情で囁くユウナ。
「僕のものになれば処罰も許してあげるよ?」
「あ……っ」
そう首筋を撫でる指に、嫌悪で鳥肌が立った。アスランに触れられるのは少しも嫌じゃなかったのに、どうしてこんなにも違うのだろう?
(……皇子……!)
脳裏にアスランの顔が浮かんだ。守ってくれると言った彼の言葉。それはキラに勇気を与えて。
「……こんな傷だらけの身体ならいくらでもあげます。だけど心は……あなたのものにはならない……!」
「なっ…!使用人のくせに、そんな口の利き方…ッ──」
「っ…」
何をされても、もう怖くなんてない──キラは目を堅く瞑った。
「──そこまでだ!」
「っ、な……っ?」
勢いよく開けられる扉の音。
ユウナがそれに身構えるより早く、空気を裂くようにして喉元に突きつけられる刃。
鋭い目つきをしたアスランが背後から剣を構えていた。
「セイランの裏を暴かせてもらった。これ以上その薄汚れた手でキラに触れてみろ。喉を切るぞ」
「な……お前、何者なんだっ?僕にこんなことしてただで済むと……っ」
きらりと光る刃先にユウナは顔を引き攣らせながら、それでも威厳を取り繕おうと声をあげる。
「何者だと……?」
アスランはカチャリと音を鳴らしながら、剣を構えなおした。
「ひっ!」
「まさかこの紋章を忘れたわけではないだろ?」
「え?あっ、こ、これは王家の……!な、なんでお前が……!」
剣の柄についた紋章を横目で見るなり、ユウナの声が裏返る。
「俺はプラント王国第一皇子、アスラン・ザラ。ユウナ・ロマ・セイラン、貴様を国家反逆の罪で拘束させてもらう」
「そ、そんな、皇子がまさか……っ」
事の重大さをようやく認識し始めたユウナに、アスランは睨みを効かした表情を緩めるとキラを見た。
「キラ、すまない、遅くなった」
「皇子……っ」
アスランの姿にキラは安堵の声を漏らす。
「ほ、本物っ?」
確信したユウナは脱力すると、その場で両手を挙げた。
──キラがウナトから耳にしたのは、機密漏洩の取引に使われた書簡の隠し部屋だった。
その話と屋敷の構図からアスランたちはそこを探り当て、書簡を見つけた。そしてセイラン家はレイの合図により、近くに潜ませていた警備兵に制圧されて。地位剥奪を言い渡された親子は苦渋の表情を浮かべという。
◇◇◇
その日の夜、キラはアスランと再び城へ帰ってきた。
アスランはセイラン家についての報告があるということで、キラを心配しながらレイと共に出かけていき。ひとりになったキラは窓辺に腰を掛けると、外をじっと眺めていた。
(これから僕、どうなるんだろう……)
暗闇を飾るように光る星を見上げながら思う。ここにきたのはただの成り行きだった。あの頃はまさかこんなことになるなんて思ってもみなかったけれど。
傷つけられてきたセイランはもうない。かといって、いつまでもここにいられるはずもない。
(皇子……)
ユウナの元から救い出してくれたアスランに、キラは咄嗟にしがみついてしまったのを思い出していた。アスランは無事を確認するかのように強く抱きしめてくれて。
あの時、ずっとこの腕の中にいれたら──そう思ってしまった。アスランのことを考えると胸がぎゅうっ、と締めつけられる。
──この気持ちを言葉に変えるとすればそれはただひとつ。だけどそれは許される想いではないことくらい、キラにもわかっていた。それに彼にとって自分は哀れな少年でしかないのだから……。
ぼんやりと眺めていると扉が開く。
「キラ、まだ起きていたのか?」
「皇子……」
疲れて寝ていると思っていたのか、アスランは少し驚いた顔をしながら入ってきた。
「そんなところじゃ冷えるだろ?こっちにおいで」
アスランは窓辺で小さくなっているキラに手招きをしたが、キラは首を振った。
「大丈夫です。ここにいると星が綺麗に見えますから…」
これ以上傍にいて優しくされたら、離れるのが余計に辛くなる……。
キラはその場から動かずにまた空を見上げた。
「キラ……」
アスランはそんなキラの傍に歩み寄る。
「キラ、すまなかった。あんなこと言っておいて…また辛い思いをさせてしまったな」
辛がっているのかと思ったのだろう、静かに詫びるアスランにキラはふるふると頭を振った。辛いのはセイランのことだけではない。うまく返事をすることが出来ずに俯く。
「でも……本当にキラのおかげなんだ。お前には感謝している」
アスランが労わって言ってくれているのはわかった。けれど、それが自分の役目が終わったように感じて、ますます苦しくなる。
「………」
黙ったままのキラにアスランはひとつ息をつくと、そっとキラの手を取った。
「こんなに冷えているじゃないか…。風邪をひく、ベッドに入ろう?」
「っ!や……ッ」
抱きかかえようとするアスランの腕をキラは反射的に跳ね除けた。
「キラ?」
「いや……これ以上……優しくしないでください……」
呟く声が震える。
「キラ、どうしたんだ?」
眉根を寄せてキラの顔を覗き込むアスランに、キラはまた首を振った。
「僕の役目は終わったんでしょ?それに、もう大丈夫ですから……放っておいてください……!」
「っ!キラ!」
そう言い放って、思わず駆けだすキラをアスランの手が引き止める。
「放っておけるわけないだろ!」
「や……っ」
引き寄せられて収まった腕の中でキラはもがいた。
「同情なんていりませんっ、だから離して……!」
「同情なんかじゃない!」
「っ──!」
耳元で叫ぶアスランの声にビクッ、と跳ねる。
「……はじめは傷ついたお前が痛々しくて、何とかしてやりたいと思った」
「……それは……っ」
やっぱり憐れんでいるだけなんじゃないか──キラの瞳に涙が浮かぶ。キラはアスランを押し退けようと腕を突っ張らせた。
「キラ、話を聞け!」
「いやっ!ッ、んんっ?!」
キラの頭部をアスランの手が掴む。強引に上を向かされるそれに声をあげようとした途端、キラの唇は塞がれていた。
(え……?)
一瞬何が起きたのかわからなかった。
そっとアスランの唇が離れたあと、もがいていたことを忘れてキラは立ちすくむ。
アスランは固まったままのキラをもう一度抱きしめるとキラ、と呼んで。
「──好きだ……」
そう告げる声にキラのアメジストの目が大きく見開いた。
「う、うそ……だって……」
「嘘じゃない。キラが好きなんだ。だから、ここにいてほしい」
(これは……夢……?)
アスランの声にキラは耳を疑う。けれど、抱きしめられる腕の強さと温かさが真実だということを伝えてきて。
「ほんとに……ほんとにいいの……?」
「あぁ……」
返事と共に深く抱きしめられて、じわりと胸が熱くなる。キラはアスランの胸に顔を埋めると、声をあげて泣きだした。
「うっ……ふぇ……っ」
「キラ……泣くな」
あやすように髪を撫でられるが、余計に溢れてきてしまう涙。
「キラ……」
アスランはそれでは泣き止まないと判断したのか、身体を離し、キラの頬を両手で包み込むと、涙で濡れた瞳にキスをする。顔の至る所にキスを降らせながら、しゃくりあげる唇を塞いだ。
「んっ……ン……」
角度を変えられながら何度も何度も口付けをされる。重ねられる唇がとても熱い……。キラは次第に泣くことを忘れていった。息が上手く吸えないせいか、クラクラとする体を支えるようにキラはアスランの服にしがみつく。
「ん……っ」
最後に軽く唇を吸われながらアスランの顔が離れた。
「泣き止んだな……」
「あ……」
キスにまどろんだ顔を見下ろされて、キラの頬が赤く染まる。頬ばかりじゃなく、耳朶まで真っ赤に染めたキラにアスランが小さく笑った。
「皇子……?」
恥ずかしくなって俯けば、彼は足りないとばかりにキラの額に口付けをする。
「キラ……キラにもっと触れたい……」
「……僕……も……」
──アスランの熱にもっと触れていたい。そして触れてほしい。
しがみついた指にぎゅっ、と力を込めると、同時にキラの身体が浮いた。
「あ……」
抱えられるアスランの腕の中、間近で見る綺麗な顔にキラの鼓動がトクンと鳴る。初めて彼を見た時、一瞬にして惹きつけらたあの感覚を思い出した。もしかしたら、あの時からから惹かれていたのかもしれない。
壊れ物でも扱うように、キラはそっとベッドの上に降ろされた。
「寒かっただろう?」
「ううん、皇子がいてくれたから…」
先ほど冷えていると言ったキラの手を取り、アスランはその指にキスをする。柔らかな唇の感触にキラがぴくりと反応を示すと、指先から手の甲へと唇を這わせる。
「んっ……皇子……」
優しく触れるその行為に目を細めて見つめていると、アスランのその唇がまたキラの唇に触れた。何度か重ねられたあと、ぬめりを帯びたものがキラの唇を突く。
「ン……ん、っ?」
閉じた唇を割るかのように進入してくるそれが舌だとわかって、キラは驚きに小さく跳ねた。口内をゆっくりと掻き回すそれに途惑ってアスランの肩にすがりつく。
「んン……っ」
探るように蠢いていたアスランの舌が、自分の同じそれに触れた。絡めるように触れてくる舌にキラもそっと合わせてみると、アスランが嬉しそうにキラの頭部を抱えてくる。
柔らかな舌を絡めて深く貪れば、身体が粟立つような感覚を覚えて。キラは夢中になってアスランの首に腕を回した。
「ン……」
口付けを交わしたまま、ベッドに埋められる体。離れた唇を惜しんで追いかけるとアスランは微笑んで。その唇をキラの首筋に押し当てた。
「っ……ふ……」
首筋に這わされる舌に身体がぞくぞくと震える。それはユウナの時に感じた嫌悪の震えとは全く違う。アスランが触れた先から熱くなっていく自分の身体にぎゅっと目を瞑った。
アスランの唇が首筋から鎖骨へと降りていく。
「──っ、あ……!」
肌に吸い付きながら胸元を開かれているのに気づき、キラは声をあげた。服を脱がされたら見えてしまう身体の傷。一度見られているとはいえ、醜い痕跡を晒すのは耐えられない。
キラはアスランの手を遮るように服を掴んだ。
「キラ…ごめん、嫌だったか…?」
キラの反応にアスランは手を止め、申し訳なさそうに問いかける。キラは小さく首を振った。
「……僕の身体…汚いから………」
こんな身体を彼に晒すほうが申し訳ない。
「キラ、大丈夫だから……見せて」
「や……いや……」
アスランは涙を浮かべるキラにキスをしながら衣服を脱がしていく。身体をそっと撫でながら、傷が一番酷く残る背中を出した。
「っ…見ないで……」
「汚れてなんかいない、キラは綺麗だよ、とても……」
「あっ……!」
傷痕にそっと口づけると舌を這わす。
「やっ…だめ…っ」
まるで癒すかのように舐めるアスランにキラは拒否の声をあげながらも、震えてしまう体を抑えられずにいた。
「んん…っ…や……」
シーツを握り握り締めながら、くぐもった声を漏らす。
「キラ……」
「ふ…んン…っ」
力の抜けた身体を反転させられ、再び唇が重なる。熱く柔らかな舌で口内を貪られると何も考えられなくなっていく。
キラの肌を撫で上げていたアスランの手が、胸で赤く色づいた小さな突起を捉えて。指先で摘まれた瞬間、キラの身体に電流が流れるような刺激が走った。
「んっ…ふ…う」
小さく震えていると、アスランが更に刺激を与えようと捏ね回してくる。その刺激が快感だということに気づき始めた頃、アスランは唇をキラの口元から固く尖った胸の頂きへと移してきた。
「ふ…あ…っ」
塞ぐものがなくなったキラの口から吐息が漏れる。覆われるように口に含まれ、舌先で舐められると堪らず声が溢れてしまい、キラは恥ずかしくなって手の甲を口に押し付けた。
キラのそんな姿にアスランは微笑を浮かべながら、手を胸から腹部へと滑らせ、下へ伸ばしていく。
「や…だめ…、あぁっ」
アスランに触れられたキラの中心は既に勃ちあがって、先端に透明な蜜を湛えていた。
「う…っ…」
敏感な自身にアスランの長い指を絡められ、キラの身体がひくりと反る。その手をゆっくりと上下に動かされれば、キラの熱は一気にそこに集まって、幼くコントロールの効かない身体は今すぐにでも弾けてしまいそうになった。
「や、あ…んんっ」
「我慢しなくていい、声聞かせて、キラ」
口を塞いでいた手を掴まれて、耳元でアスランが囁く。耳に舌を差し込まれ、くちゅくちゅと音を立てられながら舐められるとそれすら感じてしまって。
「いっ、あぁっ、ぼ…くっ…あ、アアァ──ッ!」
キラはあっという間に昇り詰め、大きな矯声とともにアスランの手を濡らした。
「は…ぁ…っ……」
達して恍惚とした表情を浮かべていると、アスランが小刻みに震えているキラの膝裏に手を添えて左右に開く。キラはアスランの眼下に晒される自分の姿に思わず声を上げた。
「キラ、かわいい……」
「や…恥ずかしい…っ」
食い入るような視線を感じて身を捩るけれど、脚を更に大きく広げられて腰が浮く。
「ひ…っ」
ぬるりとした感触を後ろの窪みに感じてキラは目を見開いた。自分の蜜で濡れたアスランの指が、そこに塗りこめるように撫でている。思わずきゅっと窄めれば、アスランの藍色の髪がふわりと顔を覆って。
「キラ、力抜いて……」
「ん…っ…」
囁かれる声に目を瞑って息を吐いた。それに合わせて指が入ってくる。
「あ、あぁ…っ…」
中を擦るように動く指。初めは異物でしかなかったそれが粘膜を擦りつけてくるうち、快感を訴えてくる。
キラは自分の身体の反応に驚きながらも、増やされるアスランの指を受け入れて身体を震わせた。
「──あぁッ」
壁を撫でつけていた指がある一点を掠めたとたん、強い快感が全身を襲う。
「ここ、か…」
「や…そこ…っ、なに……あ、あぁ…ッ」
ビクッ、と喉を反らせるキラを受け止めながら、アスランの指は快楽を煽るように捉えたしこりを押し上げてきて。
「ひ…だめっ…は…ぅっ」
その強すぎる快楽にキラは涙を溢しながら喘いだ。指が動く度、くちゅくちゅと水音が響く。
どこかに飛ばされてしまいそうなその感覚に脚を締めてアスランにすがりついていると、突如、指を抜かれた。
「ふぁ…は…おう…じ……?」
消失感にそっと目を開くと、自分を見下ろす碧眼がぼやけて見える。そして、指を抜かれたばかりのそこにひたりと充てられる何かに小さく跳ねた。
「キラ、いい?」
「あ、…は…い……」
そう問われれば、その意味するものがキラにもわかって、真っ赤になった顔でコクンと頷く。
アスランはキラにキスをひとつ落とすと、ひくひくと収縮を見せるキラの窪みに先端を押し入れた。
「あぁ…ぁッ!」
狭い内を広げて入ってくるアスランのそれは焼けそうに熱くて、キラは覆いかぶさる背中に強くしがみつく。
「い…ぁ、ふ…う、う…っ」
「キラ……!」
痛みに眉を寄せながらも、中で脈打つそれが粘膜を伝って、満たされるその感覚を覚えた。
アスランがゆっくりと腰を動かすと、張り詰めたものがキラの中を擦りだす。キラは熱く痺れるその中に快感を見出し、濡れた声を上げ始めた。
「ふぁっ、あ、んん……ふ」
いつの間にか脚は左右に大きく開き。震える中心から蜜が滴っている。
「ひあぁっ!あぁ…また…きちゃ…う…ッ」
絶頂を訴えるキラに、アスランは激しく身体を揺さ振った。その瞬間、キラの身体はびくっと痙攣し、その次には白濁とした蜜を飛ばす。朦朧とした意識の中、自分の奥深くに注がれる熱を感じた。
「は…ぁ…あ……」
息も絶え絶えの中、幸福に満たされて、キラは温かな涙を溢す。アスランはそっと指で拭いながらキラを見下ろした。
「キラ……俺にはこんなことしかできないけど……おまえの持つ痛みを塗り替えてみせるから……」
「皇子……」
キラを見つめる翡翠の瞳が、また涙で歪んで見えなくなる。
抱きしめてくる力強い腕にしがみつきながら、キラは彼の傍にいたいと強く願った。
第1章 End